国立大学法人 大分大学医学部 環境・予防医学講座

教授あいさつ

大分を世界最高峰の研究拠点に

環境・予防医学講座 教授 山岡吉生

私は1997年4月から米国テキサス州ヒューストン市のベイラー医科大学消化器内科に勤務し、2009年4月に大分の地に赴任しました。

帰国後も、ベイラー医科大学消化器内科の職は継続し、2010年からは、ベイラー医科大学消化器内科教授にも就任しています。また2019年10月からは、大分 大学医学部長として、医学部全体、さらには大分大学のレベル向上を視野にしています。

大分大学では、本学の強みと特色を踏まえた戦略的な研究や地域貢献につながる研究を推し進めています。特に、大分大学医学部の特徴といえるのが、国際共同研究が充実していることで、環境・予防医学講座はその最先端を進んでいると自負しています。

私は、大分大学着任以降、精力的に海外からの留学生を受け入れてきました。国費留学生の優先的配置プログラムなども活用し、毎年1~4名の国費留学生を受け入れ、2020年3月までに環境・予防医学講座で博士の学位を取った留学生は9名(ベトナム3名、インドネシア2名、モンゴル1名、ネ パール1名、タイ1名、バングラディシュ1名)で、現在も7名 (インドネシア3名、モンゴル2名、ベトナム1名、コンゴ民主共和国1名)の留学生が大学院生として学んでいます。

当然、講座内での公用語は英語で、毎週のミーティングも英語で行っています。アジア・アフリカを中心とした共同研究先も20か国を超えています。特に最近は、胃癌死亡率世界2位のブータンでの胃癌撲滅運動にも参加、私の友人でもあるブータン首相とともに胃癌撲滅に取り組んでいます。

さて、簡単に講座の研究内容を説明しますと、主にはヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)の研究なのですが、その主要テーマは2つあり、一つ目はピロリ菌の病原因子の探求で、今までに3つの新発見をしました。すなわち病原因子CagAに存在する繰り返し配列には東アジア型と欧米型があり、繰り返し数が胃癌発症と何らかの関連を持っていること、炎症惹起に関与する新規病原因子Outerinflammatory protein(OipA)を発見、命名したこと、十二指腸潰瘍誘導因子であるDuodenal ulcerpromoting (DupA)を発見、命名したことです。現在では、次世代シーケンスを用いた解析を行い、さらに新たな病原因子候補を発見、その機能を調べています。また病原因子のみならず、同じ手 法を用いて抗生剤耐性のメカニズムについても研究を行っています。

二つ目のテーマは、ピロリ菌をマーカーにした人類移動史の研究で、世界各国でピロリ菌を採取し、分子疫学の手法を用いて、ピロリ菌が人類と共にアフリカを旅立ち、世界中に広がっていく移動史を徐々に明らかにしています。

そして、最近精力的に研究を進めているのが、胃の中に存在するピロリ菌以外の細菌叢の研究です。これまでに、胃癌に特徴的にみられる細菌候補も見出しています。

以上、これからも今まで築いてきた国際共同研究ネットワークの幅をさらに広げ、世界最高峰の研究を目指し、大分の地から世界に向けて発信していけるよう鋭意努力したいと考えています。

今、私と夢を共有し、積極的に日本の医療・研究に貢献しようとする気概のある人材を探しています。

2020年3月1日 医学部長室にて

経歴紹介

現職

山岡 吉生(Yosio Yamaoka)
  • 大分大学 医学部長
  • 大分大学 医学部 環境・予防医学講座 教授
  • 米国 ベイラー医科大学 消化器内科講座 教授
  • モンゴル国 モンゴル国立医科大学  客員教授
  • インドネシア国 アイルランガ大学医学部 招聘教授
  • タイ王国 タマサート大学医学部 ASEAN特任教授

略歴

  • 昭和54年(1979年) 4月 京都大学工学部 入学
  • 昭和58年(1983年) 3月 京都大学工学部 卒業
  • 昭和58年(1983年) 4月 京都大学工学部大学院 入学
  • 昭和59年(1984年) 4月 京都府立医科大学 入学
  • 平成2年(1990年) 3月 京都府立医科大学 卒業(答辞)
  • 平成2年(1990年) 5月 京都府立医科大学研修医、第3内科勤務
  • 平成3年(1991年) 4月 大津市民病院研修医、消化器内科勤務
  • 平成5年(1993年) 4月 京都府立医科大学大学院医学研究科 博士課程入学
  • 平成9年(1997年) 3月 医学博士
  • 平成9年(1997年) 4月 米国ベイラー医科大学留学 消化器内科ポスドク
  • 平成13年(2001年) 1月 米国ベイラー医科大学 消化器内科講師
  • 平成14年(2002年) 1月 米国ベイラー医科大学消化器内科助教授
  • 平成16年(2004年)10月 米国ベイラー医科大学消化器内科准教授
  • 平成21年(2009年) 4月 大分大学医学部教授、環境・予防医学講座教授(現在に至る)
  • 平成22年(2010年) 4月 米国ベイラー医科大学 消化器内科教授(現在に至る)
  • 令和元年(2019年) 10月 大分大学 医学部長(現在に至る)

客員教授

  • 平成18年(2006年) 7月 ~ 平成19年6月
    イラン国Shaheed Beheshti医科大学 客員教授
  • 平成20年(2008年) 1月 ~ 平成21年12月
    北海道大学病院 客員臨床教授
  • 平成27年(2015年)7月~(現在に至る)
    モンゴル国 モンゴル国立医科学大学 客員教授
  • 令和元年(2017年)4月~(現在に至る)
    インドネシア アイルランガ大学医学部 招聘教授
  • 令和元年(2019年)4月~(現在に至る)
    タイ タマサート大学医学部 ASEAN特任教授

学術活動・社会貢献等

英文書籍の編集長:
  • Caister Academic Press;平成20年 (2008年) 発行
    Helicobacter pylori: Molecular genetics and cellular biology
  • Springer;平成28年(2016年)発行
    Helicobacter pylori Research: From Bench to Bedside
  • Caister Academic Press;平成30年 (2019年) 発行
    Microbiota: Current Research and Emerging Trends
国際学術雑誌の准編集長 (Associate Editor):
Journal of Medical Microbiology 2007年~2018年
World Journal of Gastroenterology
(Strategy Associate Editors-in-Chief)
2008年~現在に至る
Gut Pathogens 2008年~現在に至る
PLoS ONE 2011年~現在に至る
Gastroenterology Research and Practice 2011年~現在に至る
Scientific Reports 2018年~現在に至る

賞罰

平成9年 京都府立医科大学青蓮賞
平成11年 日本ヘリコバクター学会 上原H. pylori賞:最優秀賞
平成12年 米国ベイラー医科大学研究シンポジウム優秀賞
平成16年 日本ヘリコバクター学会 上原H. pylori賞:最優秀賞
平成17年 日本ヘリコバクター学会 第2回小林六造賞
平成26年 日本ヘリコバクター学会 上原H. pylori賞
平成30年 日本ヘリコバクター学会 学会賞

研究費(最近5年間)

科研費
H24~26年度 基盤研究(B)海外 東南アジアにおけるピロリ菌分子疫学研究
H25~27年度 基盤研究(B) ピロリ菌感染症における胃腫瘍発症機構の解明
H26~27年度 挑戦的萌芽研究 H. pyloriの起源を求めて
H27~29年度 基盤研究(A)海外 アジアにおけるピロリ菌分子疫学研究の推進
H28~30年度 基盤研究(B) ピロリ菌病原因子複合体による疾患発症機構
H30~R3年度 国際共同研究強化(B) ピロリ菌の病原性と薬剤耐性を考慮したテーラーメード治療の確立に関する国際共同研究
R1~R3年度 基盤研究(B) 新規2次元胃上皮細胞培養系を用いた疾患特異的ピロリ菌病原因子の追及
日本学術振興会
H26~28年度 頭脳循環を加速化する戦略的国際研究ネットワーク推進プログラム
世界最高峰のヘリコバクター・ピロリ研究を目指す消化器病研究拠点形成
H29~R1年度 研究拠点形成事業-B. アジア・アフリカ学術基盤形成型
アフリカ諸国におけるピロリ菌を中心とした消化器感染症センターの形成